東京高等裁判所 昭和46年(ネ)2248号 判決
以上認定の事実によれば、麹町警察署々員は、弁護士である被控訴人ら三名が刑事訴訟法第三九条第一項に基づき軽犯罪法違反容疑で逮捕された被疑者八百川俊子(当時氏名不詳)との接見を求めているものであることを知っていたのであるから、弁護人選任届の提出がなくても、被控訴人らが同項にいう「弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」に該当するかどうか釈明を求めるのが当然であり、もし釈明の結果これに該当する場合には、接見の日時・場所・時間を指定すべきであり、またもし釈明の結果これに該当しない場合には、その理由を告げて同項に基づく接見の要求を拒絶し、任意の退去を求めるべきであるのに、これらの手続をつくさず、控訴人らは弁護士であっても同項に基づく接見交通権を有するものではないとの一方的な見解の下に、ただちに有形力を行使して被控訴人らを同署外に排除したのであるから、被控訴人らの接見を要求する言語、態度に穏当を欠くところがあったにせよ、その有形力の行使は違法であるといわざるを得ない。
なお、同署員は、庁舎内にはいった母親大会関係者約二〇名と、被控訴人ら三名とを別の機会に庁舎外に排除したのであって、同時に排除したものではないことは前認定のとおりであるが(原審証人高野文男および当審証人佐藤正治の各証言によれば、庁舎内にはいった母親大会関係者(女性)は同署員の執務のさまたげになるほど口々に不当逮捕だから釈放しろとか、面会させろとか大声で叫び、喧噪であった事実が認められるのであって、同署員が弁護士でないこれらの者を被控訴人らと交渉している間ずっと署内に留めておいたとは考えられない。)、仮に控訴人主張のとおり、同時に排除したものであったとしても、弁護士である被控訴人ら三名をも、前記のごとき手続をつくすことなく、有形力を行使して一緒に排除した点において、同様に違法の評価を免れない。被控訴人ら三名を前記手続をつくすため残留させても、執務のさまたげになったとは認められない。
(古関 田中 川添万)